そうめんと一口に言っても、地域によりそれぞれ様々な特徴があります。
ここで少し、半田そうめんと他地域そうめんとを比較してみましょう。
まずは最も歴史のある、「三輪そうめん」。
今からおよそ1300年前、大神神社(奈良県桜井市三輪)の宮司が、小麦を栽培しこれを使って作ったのがそうめんの始まりだと言われています。
そうめんの元祖だけあって、やはり三輪そうめんの知名度は高いですね。
その特徴は半田そうめんとは真逆で、やはり細さ。
最高級品では10グラムあたりおよそ300本、直径は0.6ミリという細さです。
続いて兵庫県「揖保乃糸」。
良質の小麦と赤穂の塩、瀬戸内の乾燥した気候に恵まれ、そうめん生産高は全国一。
揖保川流域、千種川上流域、夢前川上流域2市5郡にまたがり、生産者は半田の15倍の約600軒と、その規模の大きさが分かります。
同じ四国の「小豆島そうめん」とも比べてみましょう。
島の特産品、オリーブと並んでそうめんが有名な小豆島。
こちらのそうめんは100%純正ごま油を使用して麺をのばしています。
通常のそうめんには、一定期間貯蔵庫で保管して、製造過程で使われた油の臭みを抜き、麺の水分、塩分、湿度と温度が適度に融和した状態にして(これを厄と呼ぶ)から出荷している商品もあります。
厄を越したそうめんはコシと風味が増すといいますが、小豆島のそうめんは逆に油抜きをしないで、ごま油の風味を楽しんで食べられるところが特徴です。
小豆島そうめんの兄弟にあたるのが「島原そうめん」です。
江戸時代の島原の乱で無人化した島原に、小豆島近辺から移り住んできた人たちがそうめんを伝えたと言われています。
麺作りに恵まれた風土を持ちながらも、長い間、統一ブランドが無かった島原そうめんですが、生産量は兵庫を凌ぐほどで、現在では生産量全国2位という実力を発揮しています。
こうした主力銘柄の中で、半田そうめんが支持を得たのは、他のそうめんには無いその太さとコシの強さでしょう。
小規模ながらも熱烈なファンに愛され、しっかりと地域に根付いてきたのではないでしょうか。