半田そうめんが手延べそうめんじゃなくなる?
半田ひやむぎになっちゃう?
2002年、半田そうめんを巡って、ひとつの騒動が起こりました。
農林水産省が手延べそうめんの規格を改定しようとしたのです。
手延べ製造の根幹に関わる改定案に、製造者たちは騒然となりました。
手延べ麺の製造は重労働です。
なかでも麺を伸ばす作業はもっとも過酷で、もし昔からの製法を忠実に守るならば、一日に何千回も腰をかがめて麺を引っ張りあげなければなりません。
現在の生産量を維持するには、手作業だけに頼るのではなく一部の機械化はやむを得ないところでしょう。
それでも、半田そうめんを始め手延べそうめん製造業者は、出来る限りの工程を手作業でもって行い、伝統の味を守ろうとしてきたのです。
こうした現場の状況や努力を尻目に、農林省は規格を厳しくすることによって、手延べという伝統技術を保護し、他の麺との差別化を図れると考えていました。
しかも、半田そうめんにとって何よりも問題だったのが、麺の太さに厳密な基準を設けようという動きでした。
その基準からすると、半田そうめんはひやむぎに分類されてしまいます。
10年20年前にひょっこり出てきた物の規格を変えるならまだしも、300年近い歴史をもつ半田そうめんを規格が合わないのを理由に明日から、半田ひやむぎとは呼べないでしょう。
当然、半田そうめん業者は猛反発。
陳情、意見書を提出した結果、1.7ミリ未満であればそうめんと言ってもひやむぎと言っても良いという文言が盛り込まれ、これによって「半田そうめん」は生き残りました。
昔からの根強い半田そうめんファンからの声もかなり影響したようです。
現場の声、国民の声を無視しては、法改定なんて出来ませんよね。